循環器内科の活動について 当院で初めて心房リードレスペースメーカを植込みました

お知らせ

2026年5月ニュース

2026年4月24日、当院循環器内科・不整脈センターにおいて、当院で初めてとなる心房リードレスペースメーカ「AVEIR AR2」の植込み術を実施しました。
 

手術は、吉田副部長/不整脈センター長が、所定の講習・研修を修了したうえで行いました。初めての症例でしたが、植込みは安全に行われ、合併症なく終了しました。
 

胸に本体を植込まず、リードも使わないペースメーカ

ペースメーカは、脈が遅くなる病気に対して、心臓のリズムを助けるための医療機器です。
 

従来のペースメーカでは、胸の皮膚の下に本体を植込み、そこから「リード」と呼ばれる細い電線を心臓まで通す必要がありました。
 

一方、リードレスペースメーカは、胸に本体を植込む必要がなく、リードも使用しません。カテーテルという細い管を使って、小さなペースメーカを心臓の中に直接留置します。
 

そのため、胸の傷やリードに関連するトラブルを減らせることが期待されます。また、術後の早期離床や、日常生活への早い回復にもつながる可能性があります。
 

「心房」にもリードレス治療の選択肢が広がりました

これまでリードレスペースメーカは、主に「心室」という場所を対象に使われてきました。
 

今回使用した心房リードレスペースメーカは、「心房」に留置して心臓のリズムを助けることができる医療機器です。
 

これにより、特に「洞不全症候群」という、脈が遅くなるタイプの不整脈に対して、治療の選択肢が広がりました。
 

従来、洞不全症候群の患者さんでは、リード付きペースメーカが中心でした。今後は患者さんの状態や生活背景に応じて、リードレスペースメーカも選択肢のひとつとして検討できるようになります。
 

海外の学会でも良好な成績が報告されています

2026年4月に開催された欧州不整脈学会、EHRA 2026では、洞不全症候群の患者さんに対して、心房リードレスペースメーカと従来型のリード付きペースメーカを比較した研究結果が報告されました(ARRIVE試験、https://doi.org/10.1093/europace/euag072)。
 

この報告では、心房リードレスペースメーカを使用した患者さんでは、従来型のリード付きペースメーカと比べて、術後の合併症や追加処置が少なかったことが示されています。一方で、死亡率には大きな差はなかったとされています。
 

つまり、リードレスペースメーカは、治療効果を保ちながら、合併症や再処置を減らせる可能性がある治療として注目されています。
 

患者さんに、より良い選択肢を届けるために

今回の植込みにより、当院でも心房リードレスペースメーカという新しい治療選択肢を提供できるようになりました。
 

新しい医療機器を安全に導入するためには、医師だけでなく、看護師、臨床工学技士、放射線技師など、多職種の連携が欠かせません。今回もチームで準備を重ね、安全な植込みにつなげることができました。
 

当院では、これからも新しい治療に柔軟に対応しながら、患者さん一人ひとりにとってよりよい医療を提供できるよう、日々研鑽を重ねてまいります。
 

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