お知らせ
第74回日本心臓病学会学術集会で当院の臨床研究と症例を発信
2026年9月11日~13日、出島メッセ長崎で開催された第74回日本心臓病学会学術集会で、当院循環器内科の松岡勇樹医師が2026年日本心臓病学会優秀論文賞を受賞しました。また、市川稔部長、橋本亘司医師、奥村瑞紀医師、研修医の石原立也医師が、日々の診療から得られた知見を発表しました

9月12日の表彰式で優秀論文賞を受賞した松岡勇樹医師
受賞論文は、Journal of Cardiologyに掲載された、持続性心房細動に対するカテーテルアブレーションの研究です。大阪大学大学院在籍時に執筆した論文で、多施設共同ランダム化比較試験EARNEST-PVIのデータを年齢別に解析しました。
65歳以上の291人では、肺静脈隔離に追加焼灼を行った群で、肺静脈隔離のみの群より心房細動の再発が少ない結果となりました。一方、65歳未満の206人では両群に有意差はありませんでした。年齢に応じた治療戦略を考えるうえで参考となる知見ですが、試験後のサブ解析であり、個々の患者さんへの適用には慎重な検討が必要です。
優秀論文賞は、学会誌の原著論文のうち、上田賞に次いで優秀と認められた2編に授与されます。今回の受賞は、日常診療の課題を多施設で検証し、治療選択に役立つ知見として発信した成果です。
冠動脈の高度石灰化病変に、回転式アテレクトミーと血管内砕石術(IVL)を組み合わせたRotatripsyを実施。OCTと血管内視鏡で、深部の石灰化に亀裂を形成しながら血管内腔の表面がおおむね保たれ、良好なステント拡張が得られた症例を報告しました。
腹膜癌へのTC療法後に、がん治療関連心機能障害(CTRCD)が疑われ、重症心不全と急性腎障害を来した症例を報告。持続的血液濾過透析(CHDF)や大動脈内バルーンパンピング(IABP)などの集学的治療で改善しました。治療前の心機能評価がないという限界も踏まえ、がん治療中の心機能評価と早期対応の重要性を示しました。
冠動脈の全周性高度石灰化病変にIVLを行い、OCTと血管内視鏡で治療後の変化を観察した症例を報告しました。石灰化内の亀裂と、小さな解離はあるものの内腔表面がおおむね保たれた所見を確認し、ステントは良好に拡張しました。
慢性膨張型血腫を伴う収縮性心膜炎により、薬物治療では改善しなかった心不全の症例を報告しました。画像検査と心臓カテーテル検査で病態を評価し、心膜切開術と血腫除去術を実施。術後に血行動態と症状が改善し、独歩退院に至りました。
今回の学会では、臨床研究の成果に加え、診断や治療に工夫を要した症例を、研修医を含む幅広い世代の医師が発信しました。地域の先生方と共有できる診療の知見と、若手医師の学びにつながる取り組みをご紹介します。

学会会場での当院スタッフの集合写真

市川 稔部長

橋本 亘司医師

奥村 瑞紀医師

研修医 石原 立也医師